落ち着いたギラギラ救急医のブログ ER×ICU+α 

やっくんの「だから救急はおもしろいんよ」 日々の仕事や生活をつらつらと

救急医の視点

地元のみなさまへ

総社市の高齢者施設でSARS-CoV-2のクラスター感染が起こった時、市民向けにお話する機会がありました その時のお話が聞きたいという声があったのでここに載せておきます (ちょっと一般論になるように修正しています) 僕からお伝えしたいのは10点です ①感染…

乳腺外科医裁判の問題点

裁判の問題点 よくわからない逮捕起訴は置いといて、今回は裁判、特に高裁の判決の問題点を説明します この事件では、術後の女性患者の胸から、外科医のDNAが抽出され、唾液の成分であるアミラーゼも検出されたと報道されました 証拠鑑定を行ったのは科学捜…

乳腺外科医 準強制わいせつ事件の高裁判決について

問題ある裁判 4年前、術後の女性患者にわいせつ行為をしたということで乳腺外科医が逮捕された事件があり、一審では外科医は無罪、そして先日高裁での判決がでました 東京高裁は一審無罪判決を破棄し、有罪として懲役2年を決定しました 僕は判決について今…

夜勤を乗り切る10の方策

医師もシフト制に 24時間必要とされる救急医療では特にですが、その他の領域でも病院は24時間の対応を求められます 明け方までボロボロになりながらも働く自己犠牲の心は美しく映りがちです しかし自分の体を守れなければ患者を増やすことになってしまいます…

総社市感染症専門家会議にむけた提言

総社市感染症専門家会議 総社市では、県内のコロナ診療をしている医療機関や、感染症の専門家、地域の医師会のメンバーを集めて、専門家会議を行っています いったんコロナが鳴りを潜めている今、どのように新しい生活を送るのか、どのように次の波に備える…

COVID-19流行時の熱中症予防に関する提言

熱中症予防どうしたら?? 前回マスク着用で熱中症リスクが上がるかどうかという話をしました 最近はますます気温が上昇しており、熱中症リスクが高まっています そんな折、日本救急医学会、日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会のワーキング…

マスクで熱中症リスクは上がらないのでは?

熱中症とマスク とても暑い日が続いています 自粛解禁で久々に外出してみたら、季節が変わっていたという経験をした人も多いかもしれません 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威は一旦鳴りを潜めましたが、人との距離を取ったり、これまで以上に手指…

コロナ禍は今後どうなる?

新型コロナウイルスとこれから 新型コロナウイルスについて 12月に武漢でヒト-ヒト感染が成立したと考えられている新型コロナウイルス 重症肺炎となり安いことからSARS-CoV-2と名付けられた SARSは重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome…

リスクを下げてCOVID-19患者を蘇生する方法

新型コロナと心肺蘇生 患者さんが心停止に陥った場合、いち早く対応することが望まれます ただし、その場合も、最も優先されるのは自分自身の安全確保です 目の前の心肺停止患者さんに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の疑いが強いときは、どうしたらよ…

マスク着用をきちんとしよう

マスク配布 先日、政府が布マスクを各世帯に2枚ずつ配るということで話題になりました もう届きましたか? この方針に対しては 「布マスクなんか意味がないのではないか?」 とか 「そもそもなんで布マスクなん!?」 とか 「金配れや!!」 みたいな意見ま…

布マスクを配る意味

政府が布マスクを配布 先日、政府が布マスクを各世帯に2枚ずつ配るということで話題になりました 布マスクなんか意味がないのではないか? そもそもなんで布マスクやねん!? 金配れや!! みたいな意見も多々あります 今回はマスク配布の意味について考えて…

布マスクは危ない!?

マスク品薄です マスクが品薄です 高額転売ができなくなり、少し自体はましになるかと思われますが、楽観視はできません 本来的には、マスクは一人一枚です 本人に一枚ではなく、患者さん一人に対して医療従事者が一枚使うという意味です 患者さんが咳をして…

バルプロ酸中毒にカルバペネム

バルプロ酸 みなさん、バルプロ酸中毒の患者に出合ったことはあるでしょうか? バルプロ酸ナトリウム(商品名デパケンなど)は、欧州で1964年に導入された抗てんかん薬で、日本では1991年から販売されています GABA(γ-アミノ酪酸)代謝を抑制し、GABA量を増…

知ってるかい?マスクの正しい使い方

マスクが消えた まだまだ中国で猛威を奮っている新型コロナウイルス(2019-nCoV) 日本でも感染者が報告され、今後もしかしたら広く伝染していく可能性もなくはないのですが 「感染したら最後、治療法はなく死ぬしかない」 というような誤解もされており、と…

新型コロナウイルス!対策は!?

新型コロナウイルス 今、ニュースの中心になっているコロナウイルスに関して、どのように対応すれば良いのかということを記載しておきます コロナウイルスは、風邪の原因にもなるウイルスで、ウイルスの一番外側の膜状構造である「エンベロープ」と呼ばれる…

育乳ブラに望む効果は得られない!

ブラをつける人 いろんな人が救急搬送されて来ますが、何度も搬送されてくる人の場合、スタッフから顔と名前を覚えられることも珍しくなくなります 特徴的な病態や、何か特徴的な言動があったりすると、さらに顔が広まります そんな常連さんの中に、ブラジャ…

インフルエンザについて

蔓延するインフルエンザ情報 インフルエンザについては様々な情報が蔓延しております テレビで言われている情報が正しいとは限りませんし、偉い人が言っていることを鵜呑みにするのもよくありません なるべく正確な情報が必要と思いますので、まとめておきま…

人生会議ポスター取り下げに言いたいこと

人生会議ポスター取り下げ 先日、厚生労働省が作成した人生会議の啓発ポスターを公表したところ、がん患者団体や遺族から抗議をうけて取り下げとなるということがありました お笑い芸人の小藪千豊さんがモデルとなり、自分の命が潰える瞬間、自分の生き方に…

造影剤腎症は存在するのか

造影剤腎症 前回の京都大学病院の件 メイロンのお話(滅多に使わないけど) 造影剤腎症を予防するために炭酸水素ナトリウムを投与しようとしたところ、事故につながったというものです 今回は造影剤腎症(contrast induced nephropathy:CIN)について考えて…

メイロンのお話(滅多に使わないけど)

京都大学病因の死亡事故 先日、京都大学病院で起きた事故の調査報告が公開されました 炭酸水素ナトリウム(造影CT検査による腎障害の影響を軽減させる目的で使用される)を処方する際、本来投与すべき薬剤の6.7 倍の濃度の同一成分製剤を誤って処方し、心停…

違法薬物使用疑い、通報する?どこに?

薬物で逮捕 沢尻エリカさんが逮捕されました MDMA(3,4-methylenedioxymethamphetamine)という薬物を所持していたということで、麻薬及び向精神薬取締法に違反です 悪いことをした人がいたら警察を呼ぶというのは、日本社会では当然のことです では、診療中…

「鼻血がとまらない」で救急搬送はあり!?

鼻血で救急搬送 鼻出血が止まらないということで救急要請される患者さんは結構います 止まらないと言う人の多くは、止血操作をしていません 出てきた鼻血をただティッシュでぬぐいながら、勝手に止まるのを待っていたのだけれど、止まらなくて不安になって救…

タトゥーを入れていてもMRIは撮れる

タトゥーは罪? テレビではよくタレントがタトゥー(入れ墨)を入れたということで物議を醸しています なんで他人がタトゥーを入れただけのことにとやかく首をつっこむのか理解できませんが、今回はちょっとタトゥーについて考えてみようかと思います タトゥ…

救急医と第六感

五感を使って 普段から、五感をフル活用して診察するのは大事だと思っています 視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚です 研修医にも、自分の感覚を存分に生かして診察するように指導しています 例えば下痢の患者さん どんな色の便が出ており、腸蠕動がどのような具…

板前さんにキレられた救急医

理不尽に耐えられなければ職人になれない? 先日、知人に連れられて日本酒バー的な割烹に伺った時の話です 食事が落ち着いて、ゆっくり日本酒を飲みながら板前さんと話していると、仕事が遅いと言うことでスタッフを怒鳴っていました そこで まぁそんなに怒…

悪魔の証明!インフルエンザの治癒証明

悪魔の証明、治癒証明 世の中には、悪魔の証明というものがあります “存在しない事”を証明するのははなはだ困難なので、そのように言われます 「悪魔がいないというなら、この世に悪魔が1匹もいない事を証明しろ」 なんて言われても不可能なわけです 世界中…

謎の習慣!「御侍史」に「御机下」

医師だけ?謎の習慣 医師には独特の風習があります 医師が紹介状を作成するときに、宛名は大体次の2種類のどちらかになります ◯◯先生侍史or◯◯先生机下 侍史とか机下とかなんやねん!?ってなりますが、これは脇付(わきづけ)と呼ばれるものです 直接相手に…