落ち着いたギラギラ救急医のブログ ER×ICU+α 

やっくんの「だから救急はおもしろいんよ」 日々の仕事や生活をつらつらと

新型コロナウイルス!対策は!?

新型コロナウイルス

今、ニュースの中心になっているコロナウイルスに関して、どのように対応すれば良いのかということを記載しておきます

 

コロナウイルスは、風邪の原因にもなるウイルスで、ウイルスの一番外側の膜状構造である「エンベロープ」と呼ばれる部分が独特の突起状になっており、あたかも太陽のコロナに見えることから、コロナウイルスと呼ばれるようになりました

 

「コロナウイルス」の画像検索結果

(画像:wikipediaより)

 

これまでにも6種類のコロナウイルスが発見されており

そのうちの2種類が

SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルス

MERS(中東呼吸器症候群)ウイルス

として、重症度の高いものとして近年話題になりました

 

今回、中国の武漢で新たな種類のコロナウイルスが見つかり、死亡率も高いということで話題になっております

 

死亡率15%!?

初期の患者群を報告した文献では、41例中6名が死亡しており、死亡率15%ということで、かなり重症化するのではないかという不安が高まっています

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30183-5/fulltext

 

実際のところ、中国の報告では感染者5900人越え、死者132名ということで

死亡率は2%程度

と見積もられます

当初の報告は重症化した人たちを対象にした報告なので、死亡率が高く出ています

死亡例は高齢の方や、糖尿病などの基礎疾患を持つ人に多いようです

 

現在のところ、中国以外での死亡者の報告はなく、軽症ですむ人も多数います

心配しすぎる必要はないです

 

WHOは、このウイルスで肺炎になった場合の死亡率を3%程度と見積もっています

(風邪と比べたら高いですけどね)

 

比較対象として適切か悩みますが、今アメリカではインフルエンザBが猛威を奮っており、14万人が入院し、死者は8200人を超えるということです

重篤化した人の死亡率は5%とも言えます

 

少なくとも、新型コロナウイルスだけを特別視して怖がるのは間違っております

 

症状は?

コロナウイルスは、風邪を起こすウイルスだと書きました

というわけで、新型についても風邪と見分けがつかない症状を呈します

ただし、普通の風邪と違う傾向もあります

 

発熱や咳、呼吸困難といった症状が中心となり、鼻汁や咽頭痛などの上気道症状はさほど無い様子です

また消化器症状も伴わないようです

 

長引く発熱や咳があった場合、新型コロナウイルスを発症した人や、感染者と接触した恐れの高い人と濃厚接触した疑いが強い場合に、新型コロナウイルスを疑うことになります

 

治療法は?

ありません

他の風邪と同じく、対症療法となります

 

どうやって感染防御するのか?

基本的には、感染経路はインフルエンザと同じです

飛沫感染、つまり唾で感染します

手の先にウイルスがついたままで家のドアノブを触り、他の人がドアノブを触ると感染可能性が高まります

また、目の前で咳やくしゃみをされて、その飛び散った唾を吸い込むと感染可能性が高まります

 

インフルエンザについて述べれば、マスクを常時着用する効果は乏しいです

他人の唾を吸い込むことを防いだところで、指先についたウイルスを除去できなければ、お菓子をつまみ食いした時や、顔を触った時などに感染することになります

 

今、地域の薬局やネットショップからマスクが消えています

いつかの新型インフルエンザの時もそうでした

価格が高騰して買えなくなってしまっています

 

不安でマスクでも付けたいという気持ちが働くのかもしれませんが、それよりは手洗いをしましょう

インフルエンザを防ぐのにも、マスクより手洗いが有効です

 

「自分が感染しているかもしれないから、他人にうつさないようにマスクをしておこう」

という場合にはマスクは有効です

 

それ以外の人はそこまで意味は無いと思います

踊らされすぎないように注意してください

 

医療従事者は、感染防御のために、相手の唾を吸い込まないよう、また相手に他の患者さんからもらった病原性微生物を移さないようにマスクを着用することがあるかもしれません

また、感染の疑いの強い人には病院でマスク着用をすすめられるかもしれません

通常のマスクは自分のためにつけるモノでは無いというのが我々の認識です

 

N95マスクという、通常のマスクよりも細かいものをバリアできるマスクを求める方もいるのですが、一般レベルでは必要がありません

医療従事者が、気道吸引や気管挿管といった気道周辺の処置をする際に発生するかもしれないエアロゾルを防御するためには有効ですが、一般レベルでそんなことしませんから

 

 

感染を疑う場合は?

感染を強く疑う場合(武漢に行っていた、中国に旅行に行っていた後に発熱、近くの人が診断されたとか・・・)に、いきなり病院にいくと他の人に感染させてしまいます

近隣の保健所に相談しましょう

 

当院にこられたら、他の人とあまり接触しないようにして診察し、強く疑われるならば、自宅待機をお願いして、もし入院が必要なら陰圧個室に入ってもらいつつ保健所と相談すると思います

そして保健所を通して、国立感染症研究所で検査してもらうことになります

 

検査は誰にでもするわけではありません

めちゃくちゃ疑いが強い人にやります

 

疑いが強く無い人には検査しませんし、無症状の人にはもちろん検査しません

日本ではそこまで流行しているものではないので、心配しすぎる必要はありません

 

 

パニックになりマスクを買いあさったり、検査しなくてはならないという強迫観念を抱く必要まではありません

 

まとめ

新型コロナウイルスが見つかりました

中国で猛威を奮っております

特異的な治療法はありませんが多くの場合自然に治ります

心配されたほどの危険性はありません

高齢者や基礎疾患を持つ人は注意です

 

対策は感染予防が中心となりますが

マスクの効果は限定的

と考えられます

 

できることは

手洗い、保湿

 

そして、流行期においては

人混みを避ける

 

怪しければ

自宅待機

医療機関受診前には必ず連絡

 

という、インフルエンザ対策と同じようなものになります

よろしくおねがいいたします