地方二次救急病院の救急医ブログ ER×ICU +α 

やっくんの「だから救急はおもしろいんよ」

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総社市感染症専門家会議にむけた提言

総社市感染症専門家会議

総社市では、県内のコロナ診療をしている医療機関や、感染症の専門家、地域の医師会のメンバーを集めて、専門家会議を行っています

 

いったんコロナが鳴りを潜めている今、どのように新しい生活を送るのか、どのように次の波に備えるのかというメッセージを市から発進するにあたり、医師会からも提言をするように求められました

 

個人的な意見にはなりますが、自分が提案したことを備忘録として残しておきます

 

個人的な意見で、施設を代表するものでも、医師会を代表するものでも、市を代表するものでもありません

それなりに加味して市民に発信してくれたらいいなとは思っています

 

イベント実施の可否は、国の基準を考慮し、最終的には主催者が判断するものですが、判断材料として必要なものは?また、開催にあたり、必要な対策・条件は?

第一に体調不良者は参加できないことを周知徹底する

 

感染ゼロは基本的には絶対的な目標としてはならない(そうであればありがたいが)

→クラスタを追跡できる範囲の人数であれば開催には問題はないものと考えられる

 

例えば不顕性感染者の確率が1%という状況であると、1000人のイベントには10人の感染者が紛れ込む。過去のクラスタ発生事例を鑑みて、1人が数名に感染させるならば、4-50人の新規感染者が発生するリスクがある

実効再生算数のみを考慮しても、新たに10人以上の新規感染を生む可能性が高く、10000人規模のイベントなら新規感染者は100人を超える可能性も考えられる

これではコントロールできない

参加者のうちの0.1%が感染者と考えられるような状況下ではさほど問題にはならないかもしれない

 

地域で、同時に何人までなら新規発生を許容できるのか、何人までなら入院管理ができるのか、何人までなら重症管理ができるのかという数字は共有したほうが良い

 

感染ゼロを目標にしすぎると、感染者を叩く風潮、イベント開催が罪であるかのような空気が醸成される

そうではなく、あくまでもコントロールされるかどうかが重要である

そもそも緊急事態宣言は逼迫する医療体制を立て直す目的に出されたものである

 

多人数でのイベント、パーティは参加者周辺の感染者発生状況を加味して検討するのが良かろう(参加者は市内の人か、県内の人か、県外の人か、海外からもくるかなど)

 

 
小・中学校のプール実施の可否は?

プールは低リスクと考えられる

 

中学校の部活で、柔道・剣道が試合を控えているところですが、実施するための工夫はありますか?

剣道は低リスクと考えられる

直接コンタクトする柔道に関しては、接触感染の恐れ、直接飛沫を浴びることによる感染が危惧されるため、より周辺の感染状況を考慮する必要がある

体調不良者は絶対に参加させないこと、会場への入退場時の手指衛生を徹底する

応援時に飛沫を飛ばさせないために、声を出すときはマスクを着用するなどの工夫はあって良いかもしれない(それでどの程度感染を軽減できるかのエビデンスはないが)

 

小・中学校で感染者が出た場合、休校・再開の対応方針は?
文科省通知に基づき対応することになりますが、その他の留意点は?

休校の必要まではないが、クラスタ特定まで時間がかかるか、大規模なクラスタ発生が疑われるときには休校が必要

 


県は、県民に対して、6月19日から7月9日まで、買い物・飲食は、3つの密を避け「新しい生活様式」の実践を前提に、普段どおり活動再開をお願いしています。飲食店での店内飲食や宴会の利用を、市民に積極的に周知してもいいですか?

周知したほうがよいだろう

ただし、潜伏期を考慮し、会食の参加者には、会食後も体調管理に気を遣う必要がある

 

 

また、クラスターが発生している施設への出入りは感染防止策の状況を確認し慎重に判断を、との条件を付けていますが、その他の留意点は?

接触感染リスクを軽減させる工夫を事業者に打ち出してもらう必要がある

ボトルの回し飲みは禁忌

食器の使い回しや、マイクの使い回しなども避けるべき

ジムでの器械共有は、前後の消毒をしたほうがよい

クラスタ発生した業態に、対策を提示してもらい、施設利用者に都度パンフレットやポスターなどで協力を依頼する必要があるのでは


さらに、県外への移動について、感染発生が続いている地域は移動先の流行状況などを確認して慎重に行動を、観光についても、県内及び近隣県以外の地域は目的地の流行状況などを確認して慎重に行動を、という条件を付けているが、具体的にどの程度の感染状況を想定すればいいですか?

クラスタが追えること、特定地域での医療体制が維持できることが最低限の許される感染状況

感染源が特定できない感染者が多数発生している地域には行くべきではない

 


「新しい生活様式の定着」と「業種別ガイドラインの実践」の必要性は?

感染した状況と感染経路の実例を集積し、過剰な対策をしすぎず、確定している感染経路について具体的に対策をしていくことが重要

学校については、出席停止基準を見直す必要がある

現状でも伝染性の高い感染症が疑われる状況では校長権限で出席停止は可能である

体調不良者の活動を自粛する空気の情勢が大事

休める社会を作っていく必要がある

イベントであれば、運営者も参加者も、体調不良の時は休む


市民・事業者への効果的な周知方法は?

ガイドライン遵守での協力金などインセンティブが働くシステムも必要かもしれない

学校教育の場での情報共有は積極的に行うべきであり、また積極的に実践していく必要がある

担任が無理して出勤すること、皆勤賞を目指して児童生徒に無理させる文化などは廃絶させなければならない

 

その他

 

 最近、マスクを着用しなければならない、娯楽施設を利用してはならないなどという自粛を通り越した警察行為により、目に見えないルールが横行している

マスクをつけているものの、利用方法が不適切である例などを目にするとさらに残念な気持ちになる

新しい生活様式で提言されているのは、あくまでも、感染の確率を下げられると考えられるガイドラインである

それをすれば確実に感染しないわけではないし、エビデンスも乏しい領域であることを自覚する必要がある

○○してはならないという規制を羅列するのではなく、具体的な情報の共有をして(クラスタ発生の環境など)、考える材料を提示するのが望ましいのではないか