地方二次救急病院の救急医ブログ ER×ICU +α 

やっくんの「だから救急はおもしろいんよ」

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マスク着用をきちんとしよう

マスク配布

先日、政府が布マスクを各世帯に2枚ずつ配るということで話題になりました

もう届きましたか?

 

この方針に対しては

「布マスクなんか意味がないのではないか?」

とか

「そもそもなんで布マスクなん!?」

とか

「金配れや!!」

みたいな意見まで多々あるようです

 

届いたマスクを突き返すのは簡単ですが、せっかく頂いたものを無下にするのはちょっと悲しいですね

 

サージカルマスクの効果や使い方、布マスクをすることのリスクなどを触れてきました

今回は、布マスク配布の意味について考えてみましょう

 

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(写真:時事通信社より)

 

どうしてマスクを配布?

さて、どうしてマスクが配布されたかですが、これは首相官邸ウェブサイトに記載されている首相の言葉に答えがあります

これによると、数千万枚単位で医療機関にサージカルマスクを配布し、高齢者施設、障害者施設、全国の小・中学校、そして一般家庭には布マスクを配布するというものでした

 

マスクの流通量が十分ではない今、国民の不安解消につながればという願いが込められています

 

不安な人は何をしても不安なので、効果の測定は非常に難しくなりますが、配布する側とされる側の思惑が完全にズレてしまうのは不幸です

医療従事者としてマスクのいい使い道を発信できればと考えています

 

マスクは何のためにする?

これは以前から申し上げていることですが、まず、マスクは何に使用しているかという点はとても重要です

米国疾病対策センター(CDC)は、インフルエンザ予防においてマスクの役割を

「咳やくしゃみによる大飛沫粒子をブロックし、有病者から健常者へウイルスの伝播を防ぐための物理的バリアである」

としていました

今回のCOVID-19についても同じ立場です

 

つまり、ウイルスの攻撃力を下げましょうということですね

 

医療従事者が手術中や処置の時に、帽子やガウンや滅菌手袋と一緒に装着する、いわゆるマキシマルバリアプリコーションのマスクは、飛沫を清潔野に飛ばさないように着用しています

なお、そうでないときにもマスクを装着しておりますが、それは標準予防策を行うときです

全ての患者の血液・体液、分泌物、排泄物には感染性微生物がいるはずで、これが体内に入るのを防ごうというものです

 

患者さんの飛沫を浴びたり、血液や排泄物を浴びそうなときに、それらが口や鼻に入るのを防ぐためにマスクを着用します

ただし、目に入るのはマスクでは防げないので、顔面に飛んでくる液体を防御するならゴーグルやフェースシールドをセットで装着する必要があります

目に飛沫が入るというのは、血液に飛沫が入るのと同じくらいまずいです

 

マスクだけとか、ゴーグルだけつけるというのは、全裸に靴下と手袋だけ着用するくらい滑稽です

 

布マスクで感染予防はできる?

マスクにはある程度の防御力が期待されるはずですが、装着で新型コロナウイルスの感染を予防できるかといわれると、現在のところ、その見込みはかなり低いと考えられています

インフルエンザや類似の上気道感染症では感染予防効果が乏しいという研究結果がちらほらあります

直接飛んでくる唾をガードしても、マスクを触ったり、飛沫に触れたりして手についたウイルスが接触感染により伝播していくためと思われます

 

布マスクはなおのこと感染伝播を防ぐ効果が低そうです

 

前々回のエントリーで提示したベトナムの病院での調査では、サージカルマスクと布マスクの感染予防効果を比較すると、明らかに布マスクの方が急性上気道炎に罹患しやすいという結果でした

これは医療従事者を対象とした比較試験ですが、今のところ布マスクが自己の感染予防においてとても優れているとは言い難い状況です

 

では、つけない方がいいでしょうか?

 

マスクの目的を理解しよう

マスクを何のためにつけているのかという点と、僕の使用法をまとめます

 

僕がマスクを着用するのは、多くの場合患者さんを守るためです

あくまでも患者さんに自分が持っている病原体を飛ばさないように、と思ってつけています

何らかの処置や手術の時に使用して、使用後は速やかに廃棄しています

 

そして、触ってしまうとマスクにいる病原体をわざわざ自分の手に付着させることになりますので、着用中は絶対にマスクに触れないようにしています

 

もちろん、自分が何かに感染しないよう考慮する場合もあります

直接体液を浴びそうなタイミングでサージカルマスクとゴーグルを付けたり、空気感染する可能性が高い病原菌が疑われるときに、N95マスクをつけています

そして、そのリスクから解放されたら都度マスクは破棄しています

 

医療者は1日に何枚もマスクを使用する必要があるということです

 

どうしてもマスクが手に入らなくて、使い回しをしている医療従事者が発生しているかもしれません

でも、これはリスクを増やしている可能性があります

医療従事者は最前線で感染症に対峙しています

今の状況は、普段着で戦地に派遣しているようなものです

医療従事者にマスクを!!

 

具体的なマスクの使い方

前述の通り、せっかくマスクをしても感染するのは、つけているマスクを触ってしまうからだと考えられます

布マスクは特に、ずっとつけていると湿ってしまい、感染の温床となりやすいです

布マスクとサージカルマスクの感染予防効果の差はこうしたところにあると考えられています

 

では国から配られる布マスクをどう使いましょうか?

 

僕は「マスクをつけさえすればよい」とか、「マスクつけたら無敵」とは思いません

一方で、全く無意味であるとも思いません

 

マスクを着用するなら、次の2点を気にしてほしいのです

 

・マスクつけたら触らない

・着用前後に手洗いをする

 

これをしないと、布マスクを使用してもサージカルマスクを使用してもおそらく効果は同じです

意味がないどころか、汚いものを顔に装着している分、リスクにさえなるかもしれません

 

適切なフィッティングを行った後、装着したマスクに触っていいのは外す時だけです

そして触るのはなるべく紐部分にしてください

 

マスク本体に触るということは、フィルタリングされた様々なものに触ってしまうということです

内側も外側もとても汚いものなのだと思いましょう

 

マスクを触ったその手で目を擦ったり、お菓子を食べたり、鼻をほじると感染するわけです

マスクを外した後の手もマスクをはめる手も汚いので、着脱の際には前後に手洗いが必要です

 

マスクを触ると手が汚れるのです!!

 

食事などでマスクを外して、同じマスクを再度着用すると、これも防御になりません

たぶん皆さんはコンドームを何回も使わないですよね?

そういうことです

 

布マスクは再利用することを念頭に配布されておりますが、外したなら、洗ってある別なものを利用した方が良いです

パンツと同じです

ゴム手袋は使用後に洗って再度使っていますよね?

再利用可能なものは、使用直後はそのまま再度使わず、洗って使用するのです

 

予防目的に、とマスクをつけられている人もたくさんいらっしゃると思います

そのマスクを触るたびに意味がなくなりますし、せっかく並んでまで買ったマスクを適切に使用できない(鼻出し顎出し)人もたくさんいらっしゃいます

テレビなどでそういう人を見ると、悲しい気持ちになります

 

効果をドブに捨てるような事はみんなでやめましょう

 

布マスクは予防として劇的な効果を約束するものではないかもしれませんが、唾は確実に飛ばさなくなります

 

きちんと装着し、手指衛生も保った状態で布マスクの効果を調べた研究は今のところありません

効果がどれほどか述べることは難しいですが、考えられる最大限の効果を発揮できる使用法を広めるほかありません

 

他社と接触しないというのが最も有効な予防法ですが

・自分の体調が悪い時にちょっとだけ他人と接しなければならないとき

・家族の介護や介抱をするとき

 

手洗いを徹底し、マスクをきちんと着用することで、 愛する隣人を守りましょう

 

国内主要都市では緊急事態宣言が発令されました

これ以上感染を広げないための最終局面です

 

適切な予防を!

そしてみなさまに健康を!