熱中症とマスク
とても暑い日が続いています
自粛解禁で久々に外出してみたら、季節が変わっていたという経験をした人も多いかもしれません
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威は一旦鳴りを潜めましたが、人との距離を取ったり、これまで以上に手指衛生に気を使ったりと、生活は一変しています
そんな中、最近話題なのが
「マスクをすることで熱中症のリスクになるのではないか」
というものです
そもそもマスクについては、着けることでどのくらい感染が軽減できるかはいまだに分かっていませんし、不適切な使用法なら手や顔は逆に汚れると思います
マスクさえ着けていればいいという雰囲気や、他人にマスクを強要したりする文化が醸成されることを危惧しています
それでもマスクをつけたいという思いは広がっているようで、街を歩く人のマスク着用率はとても高いです
これが熱中症のリスクだとしたら、大変ですよね
みんなどないしたらええんやろかと戦々恐々としていると思われます
今回はそんな熱中症とマスクの関係について考えてみます
熱中症の原因は?
最初に述べておきます
今のところ、マスクで熱中症のリスクが上がるという確固たるデータはありません
真夏にマスクをして出歩くという経験を、人類はあまりしてきませんでしたから……
本当にマスクが熱中症のリスクになるのか、今のところは生理学的背景から考えてみるしかないのです
それでは、どうして熱中症になるのかを考えてみましょう
熱中症は、深部体温上昇に伴うサイトカイン産生など種々の生体反応の結果、臓器障害につながる現象です
熱の産生が多いか、熱の放出ができなければ、熱がこもって熱中症となります
体温調節を簡単に説明すると
エネルギー産生や栄養代謝で熱を産生して、血液循環で熱を全身に運び、皮膚表面から放散する
というプロセスになります
熱を産生し過ぎたり(運動など)、熱が末梢まで運ばれなかったり(脱水など循環不全)、放散されなかったり(高温多湿環境、発汗能力低下)で、熱が体にこもると熱中症になるわけです
人間は熱の放出の大部分を皮膚から、そして発汗にともなう気化熱でまかなっているので、マスクをしたところでそこまでリスクは上がらないのではないかと思われます
マスクの面積はそんなに大きくないですから(アベノマスクへの皮肉ではなく、普通に面積の問題)
犬は人間と違って発汗で体温調整できないので、舌を出してハァハァして体温調節をしています
したがって、犬にマスクをつけたら高頻度に熱中症になるかもしれません
熱中症のリスク
毎年熱中症では多くの方が亡くなっています
2018年の夏には9万5000人程度が救急搬送され、581人が死亡し、死亡者の8割くらいは高齢者です
高齢者が熱中症になり、大勢死亡している背景には、冷房を嫌がる人が多いということもあるかもしれませんが、生理機能が低下していることが一番大きく関与していると考えられます
循環血液量の維持能低下から脱水になりやすく、発汗の能力も低下していることから、合わせ技一本で熱の放出能が低下します
こまめに水分補給をしつつ、なるべく暑熱環境を避けたいところです
しかし、水だけ摂取すると塩分濃度が低下して水分補給が効率的にできなくなったり、ひどい低ナトリウム血症になったりしてしまします
高血圧を合併して、塩分を避けがちなのも高齢者かもしれません
ここらへんは、今後より一層啓発していきたいところです
マスクとリスクの向き合い方
というわけで、環境に注意しながら、こまめな水分摂取をしていれば熱中症予防になると思います
ただ、もしかしたら、マスクはこまめな水分摂取を邪魔するかもしれません
口や鼻を覆っている状態では水分摂取ができません
(鼻から水は飲まれへんやろという声があるかもしれませんが、ビールを鼻から飲む宴会芸をお持ちの人もいるかもしれないですね・・・)
マスク着用と水分摂取を両立させようと、水分摂取のためにこまめにマスクを外すと、何のためにマスク着用しているのか分からなくなります
マスクを優先するか、水分摂取を優先するか
僕としては水分摂取優先でいいんじゃないかなと思っています
一応、両立したい人のために、ペットボトルや水筒から直接水を飲むのではなく、ストローをマスクの間から入れて吸うというやり方を提示しておきます
まぁ咳き込んだりしていないのであれば、そこまで一生懸命マスクを着用しなくても……と思わなくもないのです
あと、喉元すぎて熱さを忘れている感じがするので、もう一度手洗いについてもお願いしておきます
手を洗ってください!
基本的には新型コロナウイルスは接触感染ですから
何にせよ、マスクを触ったら手洗い、水飲む前に手洗いと、手間は増えます
これが新しい生活スタイルなのだと受け入れるしかないのかもしれません