経鼻内視鏡
私の父親がしてくれた初めての内視鏡検査
それは経口の内視鏡検査で私は高校生でした
その検査は気持ち悪くてしんどくて
こんな検査をしてもらえる私はきっと特別な存在なのだと感じました・・・
というわけで、ヴェルタースオリジナルみたいにうまくいかなかった思い出の内視鏡検査
遡ること20年前
心窩部痛を自覚した高校生やっくんは、父親に上部消化管内視鏡をしてもらい、ストレスによる胃潰瘍を指摘されるのでありました・・・
その時の思い出は前述の通り散々で、2度と受けたくないと思ったものです
しかし、その時はやってきます
僕も良い年になりました
健康診断で消化管の検査をうけた方が良い妙齢となったのです
今と昔では違うことがあります
それは
経鼻内視鏡検査が使える
ということです
経鼻内視鏡体験記
当院では、上部消化管内視鏡検査、通用「胃カメラ」に、経鼻内視鏡検査が使えます
以前は経鼻用の細いファイバースコープでは画像も粗かったのですが、今は鮮明な画像が得られます
5mm程度の細いチューブを鼻から入れることにより、経口検査で感じる不快感、嘔気、痛みを減らし、快適に検査を受けられる体制を強いております
これまで口からファイバーを入れてしんどい思いをしたことがある患者さんにも大変好評です
自分も検査を行いますが、もう終わりですか!?みたいな雰囲気すら漂わせます
そうは言っても、皆が知りたいのは、医師としてこの検査をうけるとどのように感じるかというところだと思います
というわけで、先日僕が実際に受けた上部消化管内視鏡検査の体験記を残し、みなさんと共有したいと思います
検査まで
検査は朝一番です
検査前日は21時以降の固形物摂取は禁物
早々と食事を済ませて、ビール片手に勉強会のスライド作りを行い、就寝
朝起きたら、もちろん食事はできません
水を一杯飲んで検査に備えます
内視鏡の前に腹部超音波検査
超音波検査をやられながら麻酔をかけられます
麻酔と言っても局所麻酔のゼリーを鼻に流し込むだけ
鼻に注射器でゼリーが流しこまれます
なんとなくじんわり鼻から咽頭に流れてくるゼリー
喉まできたら飲み込めばOKです
というわけで流れてくるのを待つこと数分・・・
美味しくない!!!
甘いような苦いようななんとも言えないゼリーの味
だれかマスカット味とか桃味の麻酔ゼリー作って欲しい!!
文句を言っても始まらないので我慢して飲み込みますが、飲み込んでも残ったゼリーが本当に美味しくないww
美味しくないなら最初に言ってくださいよ!
と看護師さんに言ったら
「いやぁ変な味ですよねーww」
いやいやw
知ってるんなら教えてくれよ!!
次からは患者さんにきちんと教えてあげようと心に刻みました
勉強になりました・・・
検査だ!
さて、そうこうしているうちに内視鏡の始まりです
まさにまな板の上の鯉の気持ち
富士フィルムと父親を信じるのみです
左側臥位になり、いざ挿入!!
20年前に感じたほどの違和感と嘔気はありませんでした
ただ、飲み込めない鉄のうどんを飲み込み続けているような喉の違和感はあります
痛くはないです
しかし、一回無理に飲み込もうとして、嘔吐反射を誘発してしまい涙目になってしまいました・・・
情けないww
喉や食道を開こうと空気を入れられると、すごく違和感を覚えます
ゲップを出したいのに出せない感じ
嘔吐したいけど嘔吐できない感じ
我慢したり飲み込もうと思って喉を変に動かすと、余計に気持ち悪くなります
内視鏡に身を任せて、入れられるがままになることが重要だと悟ってからは楽になりました
内視鏡は自ら飲み込もうとしてはなりません
検査中
検査は滞りなく進みます
喉元過ぎればというやつですね
飲み込めないうどんを無理に飲み込もうとしなければとても楽です
内視鏡が胃に到達すると、胃内をしっかり観察するために空気を入れて胃を膨らませます
これが面白い感覚
食べてないのにお腹いっぱいになる感じです
そのまま十二指腸と胃を観察され、胃の空気をぬかれますが、これも面白い感覚
何もしていないのに一気にお腹が減る感じです
満腹感と空腹感を数分ごとに感じることができます!
(え?いらない?まぁいらんわな・・・)
最後にカメラを抜きながら食道をもう一度観察して終了
時間にして10分弱です
まさにあっという間
検査結果は、大変健康な状態
めでたしめでたし
鎮静剤を使うこともないので、検査後すぐに業務に戻ることができました
経口内視鏡は結構辛いので、鎮静剤を使って検査することもしばしばです
鎮静剤を使うと、検査後に運転して帰れないなどの問題も発生するので、こうして鼻ゼリーだけで検査できるのはありがたいことです
今では私が検査施行医
患者さんに行うのはもちろん経鼻内視鏡検査
なぜなら彼らは特別な存在だからです
まとめ
・上部消化管経鼻内視鏡検査を受けた
・麻酔は鼻にゼリーを流すだけ
・ゼリーは何回も飲みたいものではない
・身を任せたら楽
・空気の出し入れで満腹と空腹を交互に味わえる
・鎮静薬がいらない検査はありがたい
・僕は元気です