よりスムーズな救急医療のために
救急医が地方二次病院に行って、どのように救急医療を拡充させていくかというプロセスは、意外と知られていないと思います
僕も大変困りました
日本全国でようやく救急専門医が5000人を超えたところ
大規模なERや救命救急センターなどで働く人が増えてきている一方、地方都市でどのようにやっていくかという点も、今後はしっかり考えていかねばなりません
これまでやってきてよかったなと思っていることで、中小病院でもできることを少しずつ変えて行きます
というわけで、最新の救急医療をより身近にするために、今月から変化したところを2つ紹介します
救急ホットライン
これまで、消防からの連絡は病院の代表電話にもらっていました
①事務員が電話を受けて
②医師に通達して
③受け入れ可能か判断
④受付事務員から返答
というプロセスを経ます
ちょっとした相談であったり、迅速な判断、こちらが必要な情報のやりとりがしにくいです
というわけで、直通電話を作ることにしました
救急ホットライン誕生です
来週から、地元消防とより緊密な連携をとっていけるのではないかと思います
自院で対応可能かどうかという判断は結構難しいです
緊急で高度な治療を要する場合というのは意外にも少ないので、オーバートリアージになりすぎると、二次救急医療機関では何もみられなくなりますし、どんどん救命救急センターに集中すると疲弊を招きます
なんでも断らずにということでキャパを超えて受け入れると、時に患者さんが不利益を被ることにもなります
ここはこれまでの経験を生かしつつ、より精度を高めたい!
どんな患者さんが来て転機がどうなったか、他院への搬送をお願いした患者さんがどうなったかなどのデータをきちんと検証していきたいと思います
血液ガス分析器導入
もう一つ、血液ガス分析器を導入しました
(写真:ラジオメーター社HPより)
ラジオメーター社の「ABL90 FLEX PLUS」を導入しました
血液ガスだけではなく、電解質や血糖、ヘモグロビン濃度、乳酸値の測定が可能になります
すでに超音波検査機器とレントゲンやCTなどの放射線診断機器がありますので、これらと合わせることで、呼吸、循環、意識の異常の原因を迅速に特定し、即時介入することができるようになります
定価は自分の車の3倍くらいするのですが、多くの方々の協力で、院長の首を縦に振らせることに成功しました
「値段はネットに出してもらってもいいくらいがんばりました」
と言ってくれたのですが、まぁ公表するのもいやらしいので、知りたい人はこっそり言ってください
血ガス検査機器導入にあたり、院内では血液ガス検査の評価のしかたなどの勉強会を開催しました
そのうちここでも共有していきたいと思います