地方二次救急病院の救急医ブログ ER×ICU +α 

やっくんの「だから救急はおもしろいんよ」

MENU

子供が服用すると1錠でも死に至る薬剤がある

Happy New Year

皆様、あけましておめでとうございます

 

自分としては、新天地での仕事が始まり、緊張と不安と希望が織混ざった複雑な心境です

毎日患者さんのために頑張るのみです

 

小児の中毒

さて、 今回スペインの文献で興味深いものがあったので紹介したいと思います

日々の生活に警鐘を鳴らす1本です

 

スペインの救急外来を2008年から2017年までに受診した1749人の小児中毒症例をもとに疫学を調査したもので、どんな物質で、どの様な状況で中毒に陥るかということを明らかにしています

 


 

日本の救急外来ではタバコがよく話題に上りますが、意外と治療薬によるものが多数を占めます

 

この研究においては治療薬が最も多く(48.3%)、次に家庭用品(22.1%)だったということです

 

薬剤を誤って服用させたり、意図せず服用したりする場合、家庭用品や化粧品を誤って口にしてしまったケースが全体の78.2%を占めるということで、「お子様の手の届かないところに」という啓発が浸透しきっていない様子をうかがわせますね

 

防ぎ得る中毒は防ぎたいものです

 

小児は1錠で命を落とす

小児にとって、薬剤は成人以上に高リスクとなります

新しい治療薬が出現して生活が豊かになる一方、ここ15年で小児にとって致命的となる可能性を持つ薬剤は2倍に増えました

 

処方する際には、本人が正しく服用できるかどうかはもちろんですが、小児が口にする機会が有るのかないのかを気にしておくことも必要です

 

1錠でも死に至る可能性を持つ薬剤は以下の通りです

 

三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ベンラファキシン)

抗精神病薬(ロキサピン、チオリダジン、クロルプロマジン、ジプラシドン、クロザピン)

抗マラリア薬(クロロキン、ヒドロキシクロロキン、キニーネ)

抗不整脈薬(キニジン、ジソピラミド、プロカインアミド、フレカイニド、イバブラジン、プロパフェノン)

カルシウム拮抗薬(ニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム)

麻薬(コデイン、ヒドロコドン、メサドン、モルヒネ、トラマドール、オキシコドン、フェンタニル、ブプレノルフィン)

血糖降下薬(SU薬、シタグリプチン)

抗血小板・抗凝固薬(チカグレロル、プラスグレル、クロピドグレル、リバーロキサバン、ダビガトラン)

抗痙攣薬(ガバペンチン、プレガバリン、ラモトリギン)

多発性硬化症治療薬(ダルファンプリジン、フィンゴリモド)

その他(イミダゾリン、テオフィリン、シルデナフィル、樟脳、サリチル酸メチル、ポドフィリン)

(体重10kgの小児が、1~2錠または5cc程度服用したことを想定)

 

 

 

抗不整脈薬、カルシウム拮抗薬、血糖降下薬、抗血小板薬・抗凝固薬は処方されている頻度が高く、患者さんの生活に馴染んでおりますので、危険の認識が低下しているかもしれません

ぜひ処方の際には再度の注意喚起をお願いしたいところです

 

また、抗うつ薬や抗精神病薬は、家庭内での管理が本人だけではうまくできない可能性が高く、より注意が必要だと思われます

 

お薬は絶対にお子様の手の届かないところに!