聴診器は汚い
聴診器は汚いと言ったらどんな感想を持ちますか?
まさか?と思います?
こんな文献がありますので紹介します
「あんたの聴診器で何が育ってんの?」という挑戦的な題名の文献です
夜な夜なドクターコスプレやナースコスプレを楽しみ聴診器で愛を育んでいる人はさておき、患者に接する医師の聴診器はとっても汚いのです
早い話が、細菌を培養しているのです
細菌がたくさんいるということと、感染が成立するということは、もちろん同義ではありませんが、それでもバッチィ聴診器を首からプランプランさせているお医者さんは、患者目線で考えても嫌ですよね…
特に、外来なんかで次々患者さんを診察していると、前の患者さんの表在菌をもらうだけでなく、次の患者さんにこれまでせっせと貯菌してきたとっておきをなすり付けることになります
さらに!その聴診器を首にかけようものなら
仕事一段落→手洗い→聴診器を首から外す→結局手に細菌が移る→食事
となって、細菌の振りかけご飯を食べることになりかねないのです
よほど患者さんの事を大切に思っていても、それは勘弁でしょう…
聴診器はどれだけ汚いのか
そんなまさか、そこまで聴診器が汚いなんて…と思われる方は、具体的にどれだけ汚いのかを調べた文献もあるので紹介します
診察手技の後に、聴診器のチューブとダイアフラム(膜の部分)、それから医師の利き手の4カ所(甲、指先、母指球、小指球)を培地に押し付けて菌量を測定しています
これによると、ダイアフラムの汚染度は指先の汚染度より低いけど、手のひらの汚染度よりも高いということです
また、ダイアフラムの汚染度は指先の汚染度と相関しているようです
つまり手が汚い人ほど聴診器も汚いのです
(そりゃそうだ)
これまであまり気に掛けていなかった方は、これを機にお手持ちの聴診器をぜひ清潔に保つ努力をしていただければと思います
どうすればキレイになるのかということについては、アルコール綿でダイアフラムの部分を拭くだけで細菌はだいぶ軽減するということが、これまでに様々な研究で報告されてきました
冒頭の文献は、アルコール消毒液で手を洗う時に聴診器も一緒に消毒してしまえばキレイになると伝えております
ポケットにアルコール綿をパンパンに突っこんで仕事するのはなかなか難しいですが、手洗いの度に聴診器も消毒してしまえばキレイな聴診器が保てます
アルコール消毒を31回するごとにメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のコロニー形成が1回防げるということです
毎日やれば月に1回MRSAの伝播が防げるのです
これはやるっきゃない!